ミオ

死なない子供、荒川修作のミオのネタバレレビュー・内容・結末

死なない子供、荒川修作(2010年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

家の床が凸凹になっていたら、電気のスイッチが思わぬ場所についてあったら、畳の形が円形だったら、動線の途中に柱が急に現れたら、室内が14色もの多くの色合いで創り上げられていたら。自分が今まで当たり前に何の疑問を持たなかった建築が覆されるような三鷹反転住宅に衝撃を受けた。それを荒川修作は、自然界にはもっと色が溢れているのだから普通の家より自然に近い、森の中で生きているようなもの、などと言っていたのを聞いて、最初はカラフルで人工的と感じていたこの住宅が、むしろ自然に近いものだと思えたし、現代の住宅には自然の色合いというものが足りていないのではないかとも感じた。
雑音や機械音のようなものが時折響くこの映像は独特で何か吸い込まれるようなものがあったけれど、それは荒川修作の人を惹きつける何かを感じたからなのかもしれない。DNAでできたものだけが生命ではない、変化が起こらないことやあらゆる可能性がなくなることを「死」である、などとこの映像内では述べられていたが、生や死に関する考え方は人それぞれで、人に押し付けることではないと思うから、その考え方が全てだとは私は思わない。だがそのような考え方が存在するのだということを知っているだけで、ものを見る視点や自分の中の世界というものは膨らんでゆくものだと私は考えるから、様々な人の声を聞くことは大切であると思う。1回の鑑賞では自分に吸収できない何かをこの映像に感じたため、1年後や5年後、はたまた10年後に観賞して、その時の自分だからこそ吸収できるものを感じたい。
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