特濃ミルク

ブレイブ ワンの特濃ミルクのネタバレレビュー・内容・結末

ブレイブ ワン(2007年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

 舞台は治安レベル最悪のニューヨーク。主人公は結婚直前に恋人を無法者たちに惨殺され、事件以降もその時の光景が何度もフラッシュバックするほどの大きなトラウマを抱えてしまう。
 しばらく引きこもる生活が続いた後、このままでは自分の心の傷に押し潰されてしまうと感じた彼女は街に繰り出し、銃を手に取る。そして街の無法者たちに容赦なく鉄槌を下していくのだったが…。
 典型的なヴィジランテもの。個人的には主演のジョディフォスター、銃を持つと完全に人格が変わる、汚れた街ニューヨークを浄化する、なんて要素から「タクシードライバー」を連想した。
 どちらの主人公も自分の傷を癒すために銃をぶっ放すわけだが、大きな違いはその復讐(自己治療?)に対してどこまで葛藤するかという部分かな。環境の違いがそこに影響していると思う。
 あっちのタクシードライバーは社会から疎外され孤独を深めて、多少の葛藤はあったものの、結局対話する相手がいないまま殺人までの一本道を突っ走るわけだが、今作の主人公はラジオDJだから街の人々という他者の声が直接聞こえるのだ。自分を称賛する声、非難する声、揶揄する声、それらが全て聞こえてくる中で苦しみながら自分の答えを探していく。両者は似ているようでその間には千里の逕庭があるのではないか。知らんけど。
あとあのラストシーンは良かった。それまで完全な悪人たちに向けられていた銃口を初めて無垢な人間に向け、引き金を引く。その瞬間やっと主人公は正気に戻り救われる。トラウマになっているはずの犯行現場にもその足で行ってるし、流れとしては綺麗に終わったなという印象を受けた。
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