BOB

宇宙戦争のBOBのレビュー・感想・評価

宇宙戦争(1953年製作の映画)
3.5
"SF小説の父"と呼ばれるH・G・ウェルズの代表作を映像化した、SF映画の古典的名作。

地球侵略を目論む火星人が、カリフォルニアに降り立つ。

"All radio is dead, which means that these tape recordings I'm making are for the sake of future history - If any."

ちゃんと"宇宙戦争"映画だった。科学的根拠、軍事的戦略に基づく説得力のあるストーリーがあり、目立った奇想天外さは感じられなかった。

スピルバーグ版『宇宙戦争』は、スピルバーグ味にしっかり脚色されていたことが分かった。映像的には間違いなくスピルバーグ版のほうが面白いが、地球防衛戦争のシュミレーションとしては本作の方が現実味があった。怪我人や暴徒化した避難民、ゴーストタウン化した街などはリアルだったし、結末に関しても水を掛けるとあっさり死んでいく火星人より、神(バクテリア)が起こした奇跡によって救われる方が納得できた。廃墟での隠れんぼシーン、数少ない車を奪い合う群衆パニックシーン、宇宙船のドアが開くと火星人の顔がごろっと出てくるラストシーンは、ほぼオリジナル通りだった。

ミサイルや円盤の飛行シーン、火星人による都市破壊シーンなどの特撮は、今見ても十分迫力がある。

溶岩のような物体の蓋が開いて、空飛ぶ円盤の長い目がにゅるっと飛び出してくるシーンがアイコニック。タコ型火星人🔴🔵🟡の造形も印象的だった。

火星人の乗る戦争マシンは、原作の"歩くトライポッド"から、"シールド付き空飛ぶ円盤"に変更されているらしい。この点は、スピルバーグ版が原作を忠実に再現している。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』って、『地球の静止する日』や本作『宇宙戦争』から多大な影響を受けていたんだなと、ふと思った。

202
BOB

BOB