オトマイム

ゴダールの決別のオトマイムのレビュー・感想・評価

ゴダールの決別(1993年製作の映画)
4.5
重なり合い音楽のように響く言葉。大河のようにゆったりと絶え間なく流れる言葉の氾濫。音へのこだわりが半端ではない。フランス語をまるごと理解できないのが悲しい。みているとどんどん鼓動が早くなって時折、深呼吸せずにはいられないほど魅了されてしまうのに、おそらく作品を一生理解しきれないであろうことが、とても悲しい。

ゴダールの作品は刺激的で面白いけれど好きというのとは違う気がする。それでも時々無性に観たくなる。ただただ、その隔絶された世界に浸りたいのだ。慄然と立ちはだかる映像美と、言葉と音楽が織りなす豊かな音の洪水に窒息しそうになりたいのだ。映像から離れて音声だけ聴いていても、字幕を消して映像だけみていても、すばらしいと思う。

水面を滑るように進む船/泊まる船/ゆるゆると泳ぐ女性/アップで捉えた喋る女性/ベッドで向きあうふたり/倒れた女性を抱きかかえる男性。それらの画が何故ありきたりでないのか、何故こんなにも独創的なのか?いつか語る言葉を持つことができるだろうか、このとてつもなく美しい映画について。





相手の首に腕を巻きつけ指をからめ合う
そんな愛の仕草は祈りの仕草と似ていると
その美しいひとは言った