さいとぅおんぶりー

悦楽共犯者のさいとぅおんぶりーのレビュー・感想・評価

悦楽共犯者(1996年製作の映画)
5.0
自らの特殊性癖を満たす為に変態達が想像力を発揮して特殊な器具を作るために奔走する群像劇。

全ての登場人物がリビドーに突き動かされて悦楽に興じる為の道具を製作してるが、完成するまで用途を類推する事すら出来ない展開が非常に面白い。

自己完結型の欲求を満たす道具が何らかの形で他者に関与していて、共犯関係にある。
個人的体験に基づいて醸成されるフェティシズムが、因果によって巡り伝播して収束するテーマがあまりにも奇怪でユーモラスな作品。

通常、目的と用途がある道具は芸術作品になり得ないが、この作品に登場する道具は個人的な目的と用途の為に製作された「社会的機能」を持たない道具だったので、本人以外からするとゴミか芸術作品になる物だったのも示唆に富んでいた。
芸術の根源は他者に到底理解出来ない物を自らの生存本能を賭けて産み出す行為に他ならず、他人からみたら滑稽でも創らずにはいられない衝動は性的欲求に等しい。

芸術家達が影響し合い作品を作り上げ、内的世界で完結するはずだった物が現実に影響を齎し、死によって完成される。
芸術表現における円環構造の物語り。