金持ちになっても愛や真実がないなら虚しいだけというのは市民ケーンにも通じるが、これにくわえて「過去の栄光に縋るみっともなさ」がとにかく伝わってくる。
また、『サンセット大通り』は金持ちという部分が、無声映画時代やハリウッドという人工物の栄光から虚栄へと転落する様がノーマ・デズモンドに仮託されてもいそう。だが、虚栄にならないように絶えず夢を見せ続ける執事のような存在もいる。
野心に燃えていたのに飼われたペットみたいになってしまった脚本家。退廃精神を体現し、依存した虚勢を様々と見せつけられると、仕事に一直線で頑張れよとセルフ説教されている気分になったが、自分の才能に見切りをつけたラストには「俺と一緒にもうちょっと頑張ろうよ」と応援してしまった。