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ロルナの祈りのadeamのレビュー・感想・評価

ロルナの祈り(2008年製作の映画)
3.0
ダルデンヌ兄弟がカンヌで脚本賞を得た社会派ドラマ。
国籍を得るための偽装結婚から生きる道を切り拓こうともがく女性の姿を描く物語です。
ダルデンヌ作品常連のジェレミー・レニエのうだつが上がらない薬中男は過去に演じたキャラクターに通じるもので、ボウルのような器で出された水を犬のように飲む頼りない姿と同時に、純朴な面も垣間見せるのが切ないです。
中盤で愛のようなものが生まれる場面の唐突さに面食らいましたが、それに続く2つのシーンでは更に感情がスキップされています。
ストーリーの中で最もドラマチックな場面を意図的に排除し、その隙間に何を読み取るかで話の受け取り方が変わる驚きの語り口でした。
終盤の展開を見ると、主人公が信じ守ろうとしたものは愛の結晶ではなく、失われた命と引き換えに夢を掴むことへの罪悪感を緩和するものだった気がしました。
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