来夢

ロルナの祈りの来夢のレビュー・感想・評価

ロルナの祈り(2008年製作の映画)
4.6
ダルデンヌ兄弟作品の中ではあまり話題にあがらない気がするけれど、俺は大が13個くらいつくくらい好き。主人公はロルナではあるけれど、ロルナに寄りすぎない見せ方がされていて、最初から最後まで、ロルナに対する一定の疑心というのも感じられる。これが後半のロルナの「繋がり」に対する執着をとても際立たせることになる。簡単に切れてしまう人と人。距離が離れていれば近づけばいいけれど、命ごと絶たれてしまった繋がりは命をもって繋げるしかない。ロルナの本当の気持ちはわからないし、罪悪感がそうさせたのかもしれないけれど、こういった繋ぎとめておきたい気持ちのことを愛と呼ぶのかもしれないな。なんて。社会に対する冷酷なまでの問題提起の中に、しがみついてでも放してはいけないものとしてそんな愛情が描かれているようにも思います。傑作。
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