チッコーネ

火の森のチッコーネのレビュー・感想・評価

火の森(1970年製作の映画)
3.7
ヒッピー文化を加味した異色の幻想譚、冒頭にはロードムーヴィの趣もある。
見どころはコロコロ変わる三姉妹の華麗なスタイリングで、ほとんどドラァグクイーン。
頭頂から後頭部にかけてふかしまくりなこの時代に、生え際が自然なレースウィッグ並みの仕上がりで魅せるプロの技、さらに大ぶりなアクセサリー群がいちいち目を惹く。
砂糖漬けの果実が乗ったケーキはすこぶるおいしそう、そして室内美術はそれなりに面白いが、突貫工事な張りぼての跡が隠せず、いまひとつときめかなかった。
対象に肉薄するカメラには生々しさと躍動感があり、官能的。
身体の一部分のクローズアップを明滅のように入れ替える編集術も、サイケデリックな効果を生んでいた。