シズカ

間違えられた男のシズカのレビュー・感想・評価

間違えられた男(1956年製作の映画)
3.8
『間違えられた男』


 無実の男が銀行強盗と間違えられ、刑務所にまで入れられる話。劇中ずっとやるせない気持ちにさせられるし、何より奥さんと主人公が可哀想。アメリカで実際に起きた事件という恐ろしい事実。

 ワトソンとクリックにより、DNAの構造がやっと分かった1953年に、DNA鑑定なんてたいそうなものがあるわけもない。容姿とアリバイ、筆跡証明に目撃証言が頼みの綱の警察にとって、動機も十分な容疑者マニーは強盗の罪で捕まってしまう。
 ヒッチコックのいつもの車内カットが、今作では異彩放っている。不安に駆られた男性の訴えかけるような目が、後半までずっと脳裏に焼きつく。これからどうなってしまうのか、そんな不安を共に体験しているような恐ろしい映画だった。
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