Ester

間違えられた男のEsterのネタバレレビュー・内容・結末

間違えられた男(1956年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ヒッチコック監督初の実話を元にした作品。

貧しくも家族と幸せに暮らす主人公マニーさん、奥さんの歯の治療費を保険会社に借りに行ったら巷で多発している連続強盗の犯人だと間違えられて警察に捕まってしまう。
果たしてマニーさんは無実を証明できるのか?
というお話。

先ず恐ろしいのが主人公は完全無実なのに1人の保険会社社員女性の「勘違い」によっていとも簡単に容疑者にされてしまうという所です。
「犯人っぽい」「ポケットに手を入れている」そんな曖昧な印象で即連行…

「悪気の無い勘違い」これが如何に恐ろしい事であるかを考えさせられる…
そしてこれが実話であるのだから本当に恐ろしいものですね。
「100人でつく嘘が真実になる」とかいう邪悪なジョークを昔何かの本で読んだのですが現実はそれより酷く、「数人の嘘(勘違い)」が真実になってしまうのです…

実話を元にした作品なのでストーリーに派手なアクション的な起伏は有りませんがカメラワークが良く、さり気ない日常の風景がドラマチックに表現されていて素晴らしかったです。
特に印象に残ったのがマニーさんが初めて留置所で夜を過ごすシーン、カメラがグルグル目まいのように回り、マニーさんの心情が見事に表現されていました。

実話ベースなので仕方ないですが、中盤以降奥様の精神が病んで離脱する流れは映画的にはテンポが悪いなぁと思ってしまいました。
(それはもちろん映画作劇的にという話であって現実の奥様の気持ちはお察しします。)

ラストシーンは奥様が元気になってハッピーエンドなら最高なのになぁ…と思ってしまいました、
無実が証明されたのに精神病んだままシーンは終了。
しかし最後に字幕とナレーションで
「2年後、奥様も元気になり退院して今では家族4人で幸せに暮らしています!」
ジャジャ-ン♪
でおしまいですw
元気に幸せになったところをちゃんと映像で見たかったですw
Ester

Ester