半兵衛

恋愛ズバリ講座 第三話 好色の半兵衛のレビュー・感想・評価

3.7
カモを巧妙に殺しながら資産を手に入れていく結婚詐欺師の沖竜次と魚住純子、しかし次のターゲットである三原葉子に沖が本気で惚れてしまい…。ほとんど『極楽特急』みたいな展開(人殺しもしているので『ハネムーン・キラーズ』みたいだけど)だが、ラストのシニカルなオチが独特な余韻を残すブラックラブコメ。

新東宝作品で悪党役ばかり演じている沖が主役を演じているのが珍しい、ただやっぱり悪人だけど。凶暴そうな顔立ちがいかにもヤバい結婚詐欺師にぴったり。

でもそれ以上に存在感を発揮しているのが三原葉子、普段は真面目な東北訛りの幼稚園の先生だがお酒を飲むとセクシーになるという漫画チックな設定を艶やかにそれでいてキュートに好演。実際に盛岡出身だけに東北弁はリアルだし、酒場で酔っぱらって下着一丁でダンスを踊るセクシーさ(パンツをずらす!)は60年たった今でも古びていない。石井輝男監督もそんな三原の体当たり演技に惚れ込んでひたすら三原を美しく撮ることに熱心になっている印象が。

先にも書いた酒場でのダンスシーンの熱気に満ちたカオスぶりがやばい、そんなハイテンションな世界でマイペースを貫く本人役の吉田輝雄はもっとヤバい。

悪党顔だけどどこか情けなさも漂う沖竜次のキャラクターを生かしたラストも最高、どこか軽薄さが漂う浅見比呂志のキャラとの対比も上手い。

ウェディングドレスの美しさも相まって超絶的な美人なのにすぐ殺される万里昌代、神父役の嵐寛寿郎も見所。
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