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アズールとアスマールのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

アズールとアスマール(2006年製作の映画)
4.1
大人が観ておもしろいジブリ配給の姫救出劇。美しいアニメーションに目が喜んだ。ムスリムの乳母に育てられた青い瞳の息子アズール(青の意味)と乳母の息子アスマール(褐色の意味)は競いながら兄弟のように育てられるが、悪影響だと父親によって引き離される。成長したアズールは、乳母が話してくれた妖精の姫を助けに旅立ち、海を越える。宗教、人種が異なることで互いに憎しみあう描写が生々しい。

疑似親子、友情、恋愛、女性の自立を含み、ただ姫を助けるだけのスイートな話には終わらせない。「見た目による偏見」をテーマにしたウィットに富んだ良作だった。

真実を知るには目を閉じて心の目を開くことを知るアズール。

敵対する両国の文化を知るアスマールの母が、ケガしたアズールを助けず、血の色を確認しようとする従者に向かって「(目の色が異なっても)血の色は同じです」と叫び、メッセージをストレートに伝えている。

ジャケ写は原色だが、細やかな描写と繊細な色彩が続く。
花の描写が正確でボタニカルアートのよう。スクリーン中に多種多様な花が咲き乱れ、多様で豊かな世界を表している。エンドロールまでガーデニングの写真集を見ているかのようでうっとりした。また青い宮殿に光が灯る美しさには息を飲んだ。大きなスクリーンで観たいと思った。

姫が7賢者を頼りながらも、決まりきった価値観やルールに頼らず、王子を選択する過程も現代的でおもしろい。意思のある自立した女性たちが褐色の肌の国にはいた。

姫救出の王道のようであるが、こちらの予想を都度裏切る展開もよかった。

この監督の他の作品も観てみたい。できれば大きなスクリーンで。
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