Sari

ヒア&ゼア・こことよそのSariのネタバレレビュー・内容・結末

ヒア&ゼア・こことよそ(1976年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

2021/06/19 DVD

ジガ・ヴェルトフ集団の中心的人物だったジャン=ピエール・ゴランと『万事快調』『ジェーンへの手紙』(1972)を最後に訣別したゴダールは、1973年以降、新たな同士アンヌ=マリー・ミエヴィルとともにパリを離れてフランス南東部の地方都市グルノーブルに移り、新たなアトリエ「ソニマージュ」(「音響(ソン)」と「映像(イマージュ)」)の二語を繋げた造語)を立ち上げる。
映画とヴィデオのさらなる実験へと向かったソニマージュの初期作品。

本作は、1970年2月から7月までゴダールとゴランらのヴェルトフ集団が、イスラエル占領に抵抗し、武装闘争をするパレスチナ人民を描く『勝利まで』というニュース映画を撮影したが、編集を進めていた9月に資金が尽きてしまったといい、その『勝利まで』の映像をあらたに編集した作品である。
冒頭では、接続詞の「と」(ET)が強調されている様に何かと何かの「間」の関係が執拗に問われることになる。
いかにもフィルム映像的なパレスチナ革命の闘士たちと、フランスの一般家族がテレビを観ている様子や、映画とヴィデオ、映像と文章、映像と映像…などコミュニケーションのあり方をめぐる省察がされている。

ヴェルトフ集団時代の作品と比較すると、
本作は編集にリズムがある分、随分と観やすくなったと感じる。公私パートナー、ミエヴィルとのコンビネーションの良さが汲み取れる作品だった。
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