このレビューはネタバレを含みます
まさしくニューシネマ的というのか、脱獄モノといえば痛快で派手なイメージがあるけども、こちらはまるで南極料理人くらいまったりとしている。
規則に従って生きる結果が、牛すら通らないようなど田舎の未舗装道路のどうでもいい芝刈り作業という社会に対してつゆほどの貢献もしない不毛さ、何か我々の人生の縮図というか物悲しい哀愁が漂う。
大スターのニューマンをして本編で達成した英雄的な行為が、「ゆでたまご50個大食い」しかなく、しかもそれをやってる間にしゃばのお母さんが他界してしまうなど、徹底して現実の人生はカッコ悪く、しょぼく、子供じみたもの。
しかしそれですらあのあってもなくてもいいような忘れられたゆるい刑務所内では偶像のヒーロー扱い。
権力から逃れて、俺はどこに逃げるというんだろう?何と戦っているのだろう?そんな虚しさの中で人生というのは得てして時間切れで終わっていく。
不思議な映画だが胸に残る作品だ。