ENDO

「女の小箱」より 夫が見たのENDOのレビュー・感想・評価

4.0
シネスコの画面比に人と物が同じぐらい主張して収まる大映の大見え切った大胆な構図に面食らう。芒が画面の3/4を占め、人物はその端で憂う。川崎敬三演じるクソみたいに自己中心的な夫に軽んじられ、浮気され家を出た妹を一泊させることすら渋る父権そのものな体裁屋の兄に挟まれる若尾文子の地獄の日常。女は斯くあるべし!とか言って抑圧されまくるが、中年女医の町田博子が誰よりも性に奔放で文子の理解者で素敵。あくどい仕事人間の田宮が全てを捨てるほど惚れた女。観客も知らぬ間に、一瞬で覆る価値観。これぞメロドラマ。岸田今日子が田宮を果物包丁で刺して、懇ろの医者に半死半生状態で生かしてもらうラスト数分間。恐ろしい。
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