イチロヲ

モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアンのイチロヲのレビュー・感想・評価

4.5
イエス・キリストの隣家に生まれ、三賢者から救世主と間違えられた青年が、周囲に振り回されながら数奇な運命を歩んでいく。聖書の内容を喜劇化している、モンティ・パイソンの劇場用第3弾。

パイソンズお得意のブラック・ジョークを、絶対的タブーである聖書の中で展開している作品。宗教団体から敵対視されているが、エリック・アイドルが歌唱する「Always Look on the Bright Side of Life」が、イギリスの国民的ソングになっている。

本編ドラマでは、ビビり症気味の青年が、思想のないユダヤ開放グループに加わったり、飛来した宇宙船に乗せられたり、吃音症のローマ帝国総督と対峙したりする。救世主を否定する論調が逆効果となり、信者がどんどん増えていく展開が面白い。

本作をめぐる周辺の人間模様に、喜劇性が伝播しているところが醍醐味。パイソンズからすれば「単に面白いから」という理由でやっているだけなのだが、タブーを深読みした人々が自分勝手に火種を放り込んでくる。この構図こそが、現代社会の喜劇そのもの。
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