イエス・キリストとまったく同じ人生を歩んでしまう主人公を中心に、宗教と聖書をネタにしまくるコメディ映画。
イギリスの伝説的コメディグループ「モンティパイソン」の映画界進出の三作目。そしてイギリスで喜劇映画の人気投票では本作がいまだにトップにくるという。
まあ、全編たのしめる作品でした。キリストの存在があまりにデカかったり、「弱者にやさしくせよ」みたいな教えまでネタにできないという事で「イエスによく似た人物」という設定にはなっているけれど、キリスト教に対する大まかな知識しかなくても充分ついていけた。
70年代後半につくられたせいか、IRAとか映画「ミュンヘン」で有名な「黒い九月」を思わせる反体制派のテログループが出てくる。用語のこまかい違いにやたら拘り、支配側のローマ帝国より仲たがいしている身内の方が憎い、というのがおかしいし現実的なんだろうな。イスラム系テログループにも同じような傾向があると聞く。
ここら辺とか主人公を勝手に祭り上げ解釈違いで争いを始める信者たちなど、ほとんどSNS全盛の現代にも通じるネタが多かった。
すごいことなんだけど、その反面「笑った後に何も残らない」コメディの良さみたいなとことは違うかな。別に見終わったあと落ち込むとかでもないのだが。「理に落ちすぎる」というんでしょうか、まあそこがおもしろい点でもあるんだけど。あるタイプのコメディ映画は笑いすぎて疲れてしまう…という意見もあるし、そういうことかも。テリー・ギリアムによる映像も、筆圧つよすぎというかしっかりしすぎてて、全編カロリーたかめなんだよな。