ルビッチさんと言えば「不倫」とは切っても切り離せない何かはありますが、そんなルビッチさんの結婚感はいかにして育まれたのか、知りたいようで知りたくないようなそんな気がしています。
薔薇の行方。朝食のゆで玉子は割られないままに、コーヒーをかき混ぜるスプーンから手が離れる。画面の外で確かめられる愛。この辺、実にルビッチさんでした。
愛を失ってしまった者、恋する者、出会うタイミングが少し遅かったりする人生の皮肉。いつの世も変わらぬ人間模様。人の弱さは哀しいけれど、それはどこか滑稽で可笑しくもある。
表情や仕草、小道具の演出から伝わる感情の機微、すれ違いの妙。ルビッチ・タッチは健在でしたね。