ゆみモン

若者たちのゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

若者たち(1967年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

1967年作品。
同名のテレビドラマでコンビを組んだ山内久が脚本、森川時久が劇映画初の監督をした青春もの。

熱く真っ直ぐな登場人物たち。

太郎(田中邦衛)、次郎(橋本功)、三郎(山本圭)、オリエ(佐藤オリエ)、末吉(松山政路)の佐藤きょうだいは早くから両親を失い、設計技師である長男の太郎が、弟妹たちの面倒を見てきた。
彼らは、貧しくも助け合って生きてきたが、末吉の大学受験問題、食費の分担金のこと、運転手次郎の交通事故等々、さまざまな問題に直面する。
そんな中、オリエは職場で原爆孤児の戸坂(石立鉄男)と知り合い、次第に惹かれていった。一方、太郎は会社とある事故の処理をめぐって対立し、学歴を持たぬ下積み労務者の悲運を痛感していた。
そして、大学入試の合否発表の日。末吉は1次通過していたが、結局不合格だった。
同じ日、太郎は、結婚を考えていた淑子(小川真由美)に別れを告げられる。上司の妹である淑子は、太郎の人柄には好意を抱いていたが、学歴がないために廻り道する人生を計算している自分がいると、正直に打ち明けたのだ。
もう大学へは行かず働くと言う末吉を、太郎は激しく叱り、次郎や三郎を巻き込み大喧嘩になった。この、末吉と太郎のやり取りのシーンは切なかった。太郎は口に出さないが、淑子に言われたことがショックだったのだ。自分のような想いは、末吉にはさせたくないのだ。

翌朝、太郎の仕事場に三郎と末吉がやって来て仲直りはするが、彼らの生活はまだまだ困難が待ち受けているだろう。

高度経済成長期に差し掛かりながらも、その恩恵には預かれない貧しい人々が多い世の中。そこから何とか抜け出そうと必死で生きていた時代。
自分が大変なのに、他人の不幸に手を差し伸べる人々。
ありふれた表現だが、本当の豊かさや幸福について考えさせられた。

若い石立鉄男が可愛いのにはビックリ❗ 菅田将暉のような雰囲気だ。