LEO

最後の忠臣蔵のLEOのレビュー・感想・評価

最後の忠臣蔵(2010年製作の映画)
3.4
討ち入りの前夜に突如姿を消した元赤穂浪士の瀬尾孫左衛門は、大石内蔵助から秘密裏に重要な使命を受けていた。
それを知らない赤穂の関係者から卑怯者、不忠者と蔑まれながら貶されながら生きる孫左衛門は、討ち入りから16年後の四十六士の十七回忌法要の日についにその命を果たすのだが、孫左衛門の真の目的はその先にあったという話。

その孫左衛門の生き様を、やはり死ぬ事を許されず、討ち入りの真実を後世に伝え、討ち入り浪士の遺族を援助する大役を命ぜられた寺坂吉右衛門の目を通して語られるストーリ展開が良かった。

が、実は自分は赤穂浪士の話はあまり好きではない。
歴史的にみれば吉良側はとんだとばっちりだし、忠臣蔵は浅野内匠頭の刃傷沙汰と四十七士の討ち入りを正当化して美談に仕立て上げる為に、一方的に吉良=悪と決めつけたほとんど根拠の無い創作。

更に何かあれば腹を切りゃいいんだろっていう切腹文化も好きじゃない。
命を捧げた(捧げさせられた)者を良とし、命を捧げなかった者を蔑むこの狂信的とも言えるこの風習。
馬鹿げた行動を正当化する言い訳や誤魔化しでしかなく、後の大戦下や宗教問題にもつながる。
この馬鹿げた思想のおかげで、“その後の日本にいてくれたら”と思う優秀な人材が何人犠牲になったか…。

だからこの作品の、そういう馬鹿げた行動の事後処理を行っている者へ焦点を当てている部分には好感が持てる。
まぁ、単なる創作の時代劇として俳優陣の素晴らしい演技に感動して観りゃいいだけの話なんだけど、最後の孫左衛門の行動がね…。

と偉そうに言うものの、自分も昔赤穂浪士の物語をカッコイイと思って感動していた時期がある。
討ち入りに参加した浪士の平均年齢は約37歳で、数人の60代・70代が参加していたから平均を上げているものの、大半が20〜30代だったのを見ると、やっぱり集団を騙して扇動していくには単純な若者が一番なんだなと再確認した次第です。

ちなみに歴史好きの蘊蓄を披露すると、大石内蔵助とお軽との間に確かに子供がいたものの、男子だったようで消息については知られていません。
ただ、佐賀県伊万里に大石の遺児「石之介良知」が死去したと伝えられている場所と墓があって、この遺児を世話をしたという家も残り遺品を伝えているそうなので、この物語はこれをモデルにしたのかな?
LEO

LEO