YasujiOshiba

シックス・センスのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

シックス・センス(1999年製作の映画)
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林檎レンタル。画質良し。なぎちゃんがこれまで奇跡的にネタバレにあわずに来てるのだけど、そろそろやばいと言うのでレンタル。

ぼくは2回目。わるくない。設定としてはハーク・ハーヴェイの『恐怖の足跡』(1962)とかメアリー・ランバートの『シエスタ』(1987)が先行しているし、アン・ハサウェイが主演の『パッセンジャーズ』(2008)なんかが続くのだけど、それはあくまでも設定の話。シャマランにはやっぱり独特のタッチがあるよね。

たとえば正面からゆっくりと移動させるカメラワークとか、落ち着いたカメラワークからのフェイドアウト、スローだけれど緊張がつづく演出のなかでも、ブルース・ウィリスのポジションとライティングと演技がよい。最近ではApple TVの『サーヴァント ターナー家の子守』などを楽しませてもらっているのだけれど、俳優の演技をきっちり引き出して、カメラできっちり人間をとらえてみせてくれているから、引き込まれるのだろう。

そういう意味では、少年コール・シアーを演じたハーレイ・ジョエル・オスメントや、そのお母さん役のトニー・コレットがすごい。コレットはあとで『ヘレディタリー/継承』(2018)で主人公のミニチュア模型作家を演じてすごかったけれど、このお母さん役も秀逸。ウィリスの妻を演じたオリヴィア・ウィリアムズの存在感がみごとで、そこにはいない人と意思を疎通させる演技なんて拍手もの。いや、演出が拍手ものなのか。

いずれにしても、今回確認できたのはシャマランのこの作品、単なるホラーでも奇抜なトリック映画でもなく、じっくりと人間を見つめている映画だってこと。その意味で、ヴィスコンティが言うところの「チネマ・アントロポモルフィコ」(人間の姿をした映画)のひとつ。まあ、名作というのはどれもが、多かれ少なかれ、チネマ・アントロポモルフィコなんだけどね。
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