カラン

アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生のカランのレビュー・感想・評価

3.5
アニー・リーボヴイッツは1949年の生まれで、現在74歳。彼女はサンフランシスコの美大生になった頃、創刊されて間もないローリングストーン誌のために写真を撮り始め、ジョン・レノンやミック・ジャガー等、ロックスターのポートレートで徐々に注目を集めた。ロックスターの部屋に入り浸り、麻薬漬けになり、集中力を高めてくれると思い込んだ時期もあった。

カルティエ=ブレッソンやロバート・フランク等の先達や同時代の他の写真家たちの息吹を感じながら、アニー・リーボヴィッツが写真を撮り、もがき、新しい表現を模索していたのがよく分かる。ダンスの動きを研究して被写体のドラマチックな瞬間を撮影しようとした。あるいは、映画的な脚色をして物語性のある瞬間を捉えようとした。

あるいは彼女がパートナーと呼ぶ15歳は年上のスーザン・ソンタグと、包囲されたサラエボに行き、まず霊安室で写真を撮り、穴だらけの市街地の兵士たちを撮った。彼女の『反解釈』(1966)はアメリカにおけるポストモダンの最初期の批評であろうが、写真論も含まれていた。1977には『写真論』も上梓した。美人で、癌に侵された孤高の作家の最後の時期を写真におさめ続けた。2人が出会ったのは1989だった。

監督はアニー・リーボヴィッツの妹。雑誌の撮影現場の記録動画を編集したのと、インタビューの切り取りが中心。冒頭は賛辞集みたいになっていた。モリコーネの時も感じたのだが、こういう編集をする人はその偉人の真の偉大さを本当は理解できていないのではないだろうか?アニーは凄い、天才だ、なんていう他人の賞賛の連続が必要だと思っているのであれば、芸術の真価が分かっていないのである。☆が少ないのはアニー・リーボヴィッツのせいではない。

それぞれのモデルにハロー、ビューティフル!と、毎度、底抜けに明るい声をかけて、泣いたりげらげら笑ったりしていた。


レンタルDVD。55円宅配GEO、20分の3。
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