キッチー

アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生のキッチーのレビュー・感想・評価

4.0
アメリカの女流写真家、アニー・リーボヴィッツの半生を彼女の写真や撮影映像、著名人のインタビューで振り返るドキュメンタリー。

呼吸をするように自然に写真を撮る。被写体の中に入っていって空気のような存在感で本能的に写真を撮る...

彼女のキャリアはイスラエルで撮影した反戦運動の写真からスタートしており、もともとは社会派カメラマン。
この写真をローリングストーン誌に持ち込んだことにより、彼女は同社でロックスターたちに密着して写真を撮り続け、ポートレートカメラマンとして大きく成長していきます。
そして、有名なジョン・レノンとオノ・ヨーコの写真。もともとはジョン単独の写真のオーダーでしたが、ジョンの協力もあり、二人の愛が伝わってくるメッセージ性の高い写真となりました。撮影直後にジョンが凶弾に倒れ、この写真の価値を高めることになり...

そして1983年にヴァニティ・フェアー誌に移籍したことも彼女の転機となります。被写体がセレブリティに変わり、より内面を写し出す方法として、写真にストーリーを持たせていく...とてもクリエイティブな撮影方法へと変わっていきます。
デミ・ムーアの所謂、妊婦ヌードも、この時期に撮影されますが、こちらも衝撃的な写真ですね。

正直言うと、ジョン・レノンとデミ・ムーアの写真だけは見たことがあり、ショッキングな写真だったので印象に残っていたのですが、同じ人物が撮影したことすら知らず、アニー・リーボヴィッツのことは今作で初めて知りました。
でも、未知の世界の話なので、これは面白かったです。

色々な人物のインタビューで彼女が、被写体になる人に対して、とても自然に接することが出来る(合わせることが出来る)才能の持ち主だと言うことが分かりますし、独特な感性で、被写体の内面を写し出すという能力も凄いと思いました。それに撮影に真剣に向き合っている姿、カッコいいですね。クリントンやドナルド・トランプも撮影していたり、彼女の作品をもっと見て、感じてみたいと思いました。
2016年に東京でも写真展が開催されていたらしく、この映画はもっと早く観るべきだったと、ちょっと後悔です。注目していきたい人が、また増えました。

監督は彼女の妹のバーバラ・リーボヴィッツ。
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