とり

アンダーワールド:エボリューションのとりのレビュー・感想・評価

4.1
一作目が思いのほか面白かったので続編も鑑賞。パート2が一作目より面白みが少ないのは世の常ですが、今回はなかなかどうして、一作目同様楽しめました。
一作目に比べると世界観が既に確立されていて安定しているんだけど、逆に新鮮さは減ってしまうのが残念といえば残念。
それに独特のゴシック調の映像はかなり減ってしまったかな?相変わらず暗いんだけどアクションに次ぐアクションでにぎやかなので、妙な暗さは感じないし。

前作で伏線バリバリだったネタが今回きちんと消化されているけど、微妙に「後出しジャンケン」状態。アンタ絶対最初そんな設定じゃなかったよね!って思わせるエピソードもちらほらあり。面白くするためならそれでもいいんですけどね…ただ、ちょっと観ていて混乱してしまった。
冒頭でざっと前回のおさらいがされてるけど、おそらく未見の人には何が何だかさーっぱりわからないに違いない。なんといっても一作目の主要人物はみんなすでに死んでいるか序盤でちゃっちゃーと殺されちゃうのに、後半まで名前だけはズラズラ出てくるもんねー。それダレでしたっけ?って考えながらの鑑賞を強いられてしまうわけです。

一作目で最大の謎の存在であった三長老の一人、マーカス卿が今回の目玉だと思うんですが、これが正直ガッカリ。一作目のビル・ナイ扮するビクターがとても良かっただけに期待しすぎたのかもしれませんが、どうもチンケなモンスターにしか見えず。
でもね~、ずっと観ているうちに妙に愛着が湧いてきました。最終的にマーカスが出ていると笑えてしょうがない状態になってしまいましたよ。愛すべきB級キャラ街道まっしぐら。

主演のケイトは相変わらず青白く低血圧美人ぶりを発揮。監督が旦那さんということで嫁の美しさをこれでもかというほど見せ付けてくれます。さっきまで血まみれでグッショリグチャグチャだったと思ったら次の瞬間には妙にこざっぱり絹のような肌になってたり、美しさの表現にぬかりはありません。
しかも随分とまたサービス精神旺盛です。監督よ、あんたは変態ですか、それともプロ中のプロ?そういえば一作目のライカンは元ダンナさんなんですよね~。なにげに映画より恐ろしい世界が広がってる模様。

アクションシーンは今回もなかなかのお手製感覚で頑張ってるなーと感じました。着ぐるみモンスターのスタントを起用しての体当たりアクション。見ていてよくケガしなかったなぁと思うほど大暴れしまくり。疾走する乗馬の騎士に向かって上方から飛びかかってくる狼男とかすごい気合いですよ。
そして前回同様、カーアクションがあってかなりの見せ場になっていますが、これがどうもうさんくさい。アイデアはなかなかのものでスピード感もあるんだけど、妙に車と背景の合成がかみ合っていない感じが⋯。

そして今回後付け設定疑惑の最たる存在、特殊部隊が登場!これははっきり言って全く予想してなかったのですごく満足。ゴシック、モンスターときて更に特殊部隊まで一本の映画で観られるなんて。
彼らの使い方もなかなか良かったと思います。でしゃばりすぎず無駄なくこじんまり役立つ人たち。残酷度も気持ちいいほどアップしていて、微妙に見えない!という状態はほとんどなく、まさに痒い所に手が届く演出でした。

本作時点で三部作らしいとのことでしたが、今回のラストでいったん終わらせてしまっていいんじゃない?という思いが強かったです。

有楽町スバル座(閉館)
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