CANACO

Love LetterのCANACOのレビュー・感想・評価

Love Letter(1995年製作の映画)
3.7
范文雀さん、他界されてたんですね。

おそらく4回目の鑑賞。数年経つと断片的にしか筋を思い出せなくなるのは、この物語の設定が複雑だからだと信じたい。

中山美穂といえば「毎度お騒がせします」と「セーラー服反逆同盟」ですよねと言いたくなるが、一人二役の大役に挑んだ代表作はこれ。

婚約者・藤井樹を山岳事故で失った渡辺博子が、中学時代の卒アルを頼りに返事がくるはずもない手紙を藤井の住所宛に送ったところ、差出人・藤井樹の返信がくる。しばらく文通を続けるが、「なぜ届くのか」「手紙を書いているのは誰なのか」は謎のまま。藤井の男友達の提案で、渡辺博子は男友達とともに小樽まで真相を確かめにいく。それをきっかけに判明する「同姓同名の藤井樹」を交えた回想ラブストーリー。

おとぎ話なので、現実的には無理な設定だらけだけど、秘めた想い・素直になれないといった初恋のエッセンスがぎゅっと詰まった作品。渡辺博子の失恋の物語でもある。
初めて観た時はまだ20歳くらいで、クラスメイトにひやかされる側の拷問に近い気持ちとシンクロしていたが、歳をとり、親の気持ちもわかるようになってきた。

鈴木蘭々さんだけ岩井俊二ではなく福田雄一の世界で闘っているが、それはそれで面白い。

悪人がいない世界なので、最後まで心穏やかに鑑賞することができる作品。樹ちゃんには、それだけは博子に言わないであげてとお願いしたい。
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