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Love Letterのmmntmrのレビュー・感想・評価

Love Letter(1995年製作の映画)
5.0
こんなに素晴らしい作品だったとは。
ポスターの雰囲気から既に傑作臭が漂っていたけれど、想定を遥かに超えてきた。

作品全体で統一された浅い色彩と散光する光。青白い雪景色と木造家屋のどのシーンでも、優しさ,切なさ,暖かさの演出を助ける。

カメラワークの巧さやショットの多さも際立つ。冒頭雪原のシーンから既に技が光っていて、あまりに効果的なので,職人だなぁと感心させられる。
引きでショットの少ない映像が好みなのだけれど、それでもこの技には脱帽。
手ブレの目立つシーンが多いのに見劣りしないのはアスペクト比がかなり横に広いからだろうか。。


衣装,美術も素晴らしい。くどさなく生活美を感じられる絶妙なニュアンス。

ストーリーを語るのは避けておくが、ほんとうに素晴らしいシナリオ。秀逸過ぎる。
みんなの存在が光ってたし、暖かかった。
そして微かな切なさ。

冬の季節は寒くて辛いが、空気は澄んでいるし景色は美しいし人は暖かい。そんな感じだった。

中山美穂の美しさ、淑やかな佇まい、演技にも魅き込まれる。
酒井美紀は森七菜と似た可愛さがあった。

お母さんに騙されて病院に置いていかれる樹が宙を蹴りながら「もうっ」と呟くシーン、好きだなぁ。望遠でのショットなのでそんな呟きは絶対聞こえてこないはずなのだけれど、あからさまなアフレコで小さく呟く。
全く似たようなシーンが北野武の『ソナチネ』であった。台詞はなんだったかな。。
人知れず不貞腐れる女性を遠くから見つけてしまってときめくという。

それにしてもキャッチーなキャラクターが多い作品だった。マルフォイみたいなクラスメイトにハーマイオニーみたいな友達(?)、樹のお爺さんはジブリに出て来そうな人だったし藤井君のお母さんは僕の昔のお婆ちゃんに似ていた()。

そしてこれは偶然だが、卒業アルバムのシーンで三年一組の欄に“岩井俊二”君がいるのを発見。笑

あまりに良い作品だったので連続してもう一度鑑賞してしまった。。。好きなシーンが沢山ある。

大切にしたいと思える作品となった。
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