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日も月ものcsmのレビュー・感想・評価

日も月も(1969年製作の映画)
5.0
京都鎌倉を山と茶のスピリチュアルが貫くひんやり画面、さっきまでのアッパーお志麻と違うダウナーお志麻に場内も涼しく感じる。ゲリラ風なところもあったりの美しい撮影に痺れる音響、これがノボベスか。恐ろしいほど素晴らしかった。かわらけ投げの女優さんの表情、ガスがどうとか言うからもう怖いし男らは死んでも肖像が見つめてるし、全員アート人間すぎて鉢合いの美術館と思いきやへーちゃんはブリヂストン美術館の人だし映るたび細っ!と思う。役のために痩せたような中山仁(英語表記Jiuで惜しい)が見せつける肉体、病室から眺めてた砂浜のヒール跡、志麻仁を見つめる2人の後ろ姿。江ノ電から見えるのは死んだ自分の床飾るものまで決めてるコレクター笠智衆と香山美子のイチャつき。誰も見とらんハハ、ハーと言われてもその音に久我ちゃんは身を隠し、この家に越したお志麻を鬼の目凝視で何往復もする中山仁、止まらない警報音の中頭掴んで髪むしった死者が列車でやって来る。アートくずれ入川さんが扇風機隠しても、死んだ者含めそこにいない誰かが拡散させた風が心を乱す。乱れ髪で布団押し込む久我ちゃんによる「女はそれでいい」って言葉に囚われて血を憎んでもやっぱりお志麻も繰り返すのだし、無数の羽音が聞こえても振り返ったら鳥はいない。女はひとり一心不乱に皿を投げるのみ。
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