浅野公喜

ナイトホークスの浅野公喜のレビュー・感想・評価

ナイトホークス(1981年製作の映画)
3.7
「ランボー」直前のスタローン演じる刑事と「ブレードランナー」直前のルトガー・ハウアー演じるテロリストの戦いを描いたアクション。「ウォリアーズ」にしろ「マニアック」にしろこの時期のNYは独特の危険な雰囲気が漂ってます。

序盤の潜入捜査とロンドンの爆破テロから圧倒。その後は地下鉄での追跡劇やロープウェイ占拠等有りますがアクションは尻すぼみ気味で、銃が撃てないスタローンの過去の掘り下げやトラウマを克服する流れが無い上にビリー・ディー・ウィリアムズ演じる相棒との繋がりも大して描かない不満も有りますが緊張感は常に持続。そんな中上司と仕事後の食事の支払いをどうするか、という軽妙な台詞のやりとりからの銃撃は緩急が有る上に序盤が伏線となるエンディングも想像通りながら痛快と満足度は高めでした。

スタローンは筋肉要素少な目でルトガーも「ヒッチャー」的狂人ぽさは抑えたどちらも渋めの演技を披露。ルトガーの「ヨーロッパで指名手配中のテロリストなんだ」とジョークを飛ばしているようで事実を述べている絶妙なユーモアは脚本を手掛けたデヴィッド・シェイバーという方の巧さが表れているような。二人以外では前述のほぼ同時期「マニアック」で殺人鬼を演じていたジョー・スピネルがスタローンの上司役を演じていてその対照的な役柄と演技、風貌に少し驚き。

BGMを手掛けたのは「インフェルノ」直後で日本のアニメ映画「幻魔大戦」直前のELPのキース・エマーソンで彼らしいフレーズにパーカッションやストリングス、ホーンも加わる70年代映画風でも有るサウンドは1981年らしいかも。劇中のディスコではいかにもなディスコソングではなくローリング・ストーンズの「Brown Sugar」やフォガット「Slow Ride」といったロックが何故か流れているのが印象的。

伊藤ハムイズ、ケッコウオイシイ。
浅野公喜

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