オープニングのインパクトは抜群。女装したシルヴェスター・スタローン（刑事）に追っかけられるなんて、さぞかしあのチンピラは恐怖だったろう…と同情したりおかしかったり。そして序盤、もっとおっかない悪役のルトガー・ハウアーが登場し、さあこれから！、と期待値が上がった分、その後の失速ぶりがちょっと残念だった。
スタローンがなんか覇気がないというか、体温が低そうなのが気になった。『ダーティハリー』のイーストウッドや『フレンチ・コネクション』のハックマンのように、犯人に対して憎しみをむき出しにくれないと刑事ドラマは盛り上がらない。
対するハウアーも冷酷なのはいいんだけど、優秀なテロリストの割には行動が行き当たりばったりで困ったらナイフを振り回すだけ（苦笑）。犯行も特に作戦を練った感がしない。
ニューヨーク・ロケは迫力あるし、テンポがいいから退屈はしないんだけど、たくさんあるハリウッド産の名作刑事アクション群に比べるとちょっと見劣りがする。ハウアーが今作をきっかけに、『ブレードランナー』で映画史に残るような悪役を演じたという意味では記憶に残るけど。
