佐藤克巳

花ちりぬの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

花ちりぬ(1938年製作の映画)
5.0
助監督に市川崑の名があり、後年「日本橋」が良く似た作風の傑作だったなぁと得心が行った。その師匠格の石田民三監督の、蛤御門の変に於ける祇園茶屋の廓の女のみで舞台構成された森本薫原作の花街物映画の傑作中の傑作。主演の花井蘭子以外知らない女優ばかりだが、艶やかで華やいだ芸者・舞妓の立ち振る舞いの美しさ、限定された空間のセットの巧妙さ、鋭角的なアングルも大胆なアップも素晴らしく新鮮で目が洗われた思いの映像表現であった。また戦後石田監督は、お茶屋を営み北野をどりの作・演出を行ったという話も納得がいく、正に京都情緒満喫の作品となった。
佐藤克巳

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