メイプルわっふるG

エルム街の悪夢/ザ・ファイナルナイトメアのメイプルわっふるGのレビュー・感想・評価

3.8
"眠り込む者の恐怖 それは限りない 足元の地面が崩れて そして夢が始まる" フリードリッヒ・ニーチェ
"Welcome to Prime Time, bitch.(視聴率が上がるぞ)" フレディ・クルーガー

シリーズ最終の第6作。
フレディの最期を描きストーリー性も作り込んだ意欲作&完結編。

シリーズ1作目から関わっていた製作レイチェル・タラレイが満を持して監督に。シリーズを熟知し想いもあるラストに相応しい人物。
だというのに、あまりにも不遇な作品。自分は好きだけど批判されるのも理解できるし何より結果がすべて。ただ、不幸なめぐり合わせには同情を禁じえない。

レイチェルが重視したのはフレディの最期および物語をきちんと描くこと(4~5作では物語が雑だった)。
『ツイン・ピークス』の影響を受け、『恐怖の足跡』のような奇妙な色彩、『クライ・ベイビー』のカメオ出演多用などを取り入れる。
~異次元世界の色彩、ジョニデのカメオなどに歓喜。

最大の不幸は、製作ロバート・シェイ(ニュー・ライン・シネマ)による3D決定。アイデアが尽きて質が落ちたシリーズに、目新しさの一つとして初の3Dを実装。

フレディの最期を特殊効果を使ってカッコいいものにしたかったレイチェルだが、3Dになって撮影が制限だらけに。通常のワイヤーやセットが使えなくなり、3D向け映像への変更を余儀なくされる。
それは「思い描くシーン」ではなく「3D撮影用の機材に合わせた撮り方」という、目的と手段の逆転現象。

仕上がった出来に頭を抱えたというレイチェル。3D用のため位置がズレており、視覚効果もイマイチ、しかもビデオでは3Dの意味はなくなり作品の特色が伝わらない。

ロバート・シェイ、クライヴ・バーカー(ヘルレイザー原作者)両者が似たコメントを述べている。
シリーズは、後の作品になるほど新鮮さを出すことも質の維持も難しい。
共通するのはフレディであるロバート・イングランドだけ。監督も物語も独立したつながりのないもの。
レイチェルはよくやったが、成績は過去最悪でフレディを休ませる時期に来た。

成績の悪さは、期待値を下落させた前作不評のせいとも言える。むしろ大きな要因。
愚作と評される2作目は、1作目のヒットを受けての実績上書きを果たした。
3作目は、ウェス・クレイヴンの再参戦や1作目キャスト復帰の最高傑作。
4作目は、前作大ヒットを受け初日から長蛇の列。そこに内容の濃さが拍車をかけた。
5作目は、前作ヒットにも関わらず大不振。←今ここ

不利な状況が重なりまくりの6作目。せめてナンバリング入れておけばと思ってしまう。
むしろシリーズ貢献度の高いレイチェルやマイケル・デ・ルカだったからこの程度で済んだのかもしれない。初参戦の監督だったらもっと激しいバッシングになったのやも。


数え歌
One two, Freddy's coming for you.
Three four, better lock your door.
Five six, grab your crucifix.
Seven eight, gonna stay up late.
Nine ten, never sleep again.

memo → ネタバレコメ

◆エルム街の悪夢(1984年製作の映画)
<https://filmarks.com/movies/10032/reviews/77595865>
◆エルム街の悪夢2/フレディの復讐(1985年製作の映画)
<https://filmarks.com/movies/3184/reviews/77595884>
◆エルム街の悪夢3/惨劇の館(1987年製作の映画)
<https://filmarks.com/movies/13988/reviews/77595916>
◆エルム街の悪夢4/ザ・ドリームマスター最後の反撃(1988年製作の映画)
<https://filmarks.com/movies/3873/reviews/78107691>
◆エルム街の悪夢5/ザ・ドリームチャイルド(1989年製作の映画)
<https://filmarks.com/movies/34002/reviews/78107628>
◆エルム街の悪夢/ザ・ファイナルナイトメア(1991年製作の映画)
<https://filmarks.com/movies/12151/reviews/78107677>
◆エルム街の悪夢/ザ・リアルナイトメア(1994年製作の映画)
<https://filmarks.com/movies/50433/reviews/78107649>