櫻イミト

スペースバンパイアの櫻イミトのレビュー・感想・評価

スペースバンパイア(1985年製作の映画)
3.0
超一流スタッフを集めたが、結果的にB級SF映画となったカルト作。
黒沢清監督がオールタイムベストホラー10の一本に挙げていたので興味を持ち鑑賞。
原作:コリンウイルソン オカルト・犯罪評論の大家
監督:トビー・フーバー「悪魔のいけにえ」他
脚本:ダン・オヴァノン「エイリアン」他
音楽:ヘンリー・マンシーニ「ティファニーで朝食を」他
特撮:ジョン・ダイクストラ「スター・ウオーズ」他
特殊メイク:ニックメイリー「スター・ウオーズ」ヨーダ他
これだけの面子にも関わらず興行的に失敗しカルト化した理由は、トビー・フーバー監督の言葉「自らのルーツであるハマーフィルムの超大作版」に集約されるだろう。展開が強引なことも含めて時代に合わなかったのだ。

物語は宇宙から来た全裸の美女ヴァンパイアが人々からエネルギーを吸い取りゾンビ状態にさせロンドンを火の海にするというもの。確かにハマー・プロのセクシーヴァンパイア路線を感じるもので監督の思いは達せられている。「スピーシーズ 種の起源」(1995)を連想する導入だが、本作の設定は英国ゴシックヴァンパイアの伝統を守っている。

全裸ヴァンパイアを演じたマチルダ・メイ(当時21歳)はハマリ役でカルトヒロインとして名を残している。その他、最近は「ドクターストレンジ マルチバース オブ マッドネス」出演で話題になったプロフェッサーXことパトリック・スチュワートが犠牲者役を快演。ミック・ジャガーの弟クリス・ジャガーが男ヴァンパイアを演じている。

※黒沢清監督の評
物語の破綻を恐れず、強固な怪奇主義を貫いた非凡な作品。SFスペクタルの設定を突如放棄して、ラストで地下室と鉄格子と串刺しと昇天とを準備したフーバーに涙。
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