明石です

スペースバンパイアの明石ですのレビュー・感想・評価

スペースバンパイア(1985年製作の映画)
4.0
宇宙空間を旅していた探査船が、正体不明の巨大な宇宙船に遭遇、そこでカプセルに入れられた美しい裸体の女性を見つけ、地球に持ち帰ると、彼女が脱走!!人間の精気を吸い取って生きる不死身のバンパイアが野に放たれ、ロンドンの街が大混乱に、、という話。

誉れ高いコリン・ウィルソンの原作は未読。宇宙空間で見つけた謎の宇宙船が、船員たちに世にも恐ろしい体験をもたらすというストーリーは『イベント・ホライゾン』的な感じかと思ってたら、しっかりその恐怖を地球に持ち帰ってきて、それもロンドン中が大混乱に、というスケールの大きな展開に。日本の特撮が大好きなトビーフーパーらしいミニチュアの街の模型を使ったようなSFXは時代を感じられてとても楽しい。

バンパイアに精気を吸い取られた人間が、2時間ごとにエネルギーを吸収し続けないと干からびてミイラ化し、さらには爆発してしまうという基本設定が面白い。生きた人間の精気を求める2時間限定のゾンビが街に溢れかえり、ロンドン中が恐怖の渦に叩き込まれるという後半のアポカリプス的展開が、ホラー映画としての本作に勢いを与えてると思う。吸血鬼ならぬ吸精鬼のバンパイアが、エネルギーを求めて集団で襲ってくる姿はまさしくゾンビ映画的な怖さがあるしね。

脚本は『エイリアン』や『ゾンゲリア』のダン・オバノンということで、丁寧なシナリオが売りの彼らしく、長大な小説の世界観をなんとか繋ぎ合わせて2時間弱の尺に収めようとした努力は随所に見られるものの、それでも説明不足というか、100%理解させることははなから諦めたような根本的なつぎはぎ感が拭えず、ストーリー主体で見れば、なんとも意味不明な映画になってしまっているのです笑。珍しいことにね。

しかしこのなかなかに荒唐無稽な映画を最後までまとめ上げているのは、原作の魅力でもトビーフーパーの腕でもなく、バンパイア役を演じたマチルダメイの裸だというのはおそらく誰の目にも明らか笑。何分かおきに必ず出てくる、そして驚くべきことに全編通して一度も服を着ない(!)露出狂の彼女の裸体は、宇宙から来たバンパイアという神秘的な設定のおかげで余計に光り輝いて見えるし、ずっと脱いでるのに全然B級感を感じない笑。これがハロー効果というやつか、、

見終わった後に調べて知ったのだけど、本作の音楽を担当したのはあの「ムーン・リバー」のヘンリー・マンシーニらしい。曲調違いすぎて全然わからなかった、、というかちゃんと聴いておけばよかった。耳爆破しないと。また、スタートレックですかというような論理を超えた、壮大にして意味不明なラストも微笑ましくて良い。色んな意味で愛すべき映画なのでした。
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