シズヲ

KIDS/キッズのシズヲのレビュー・感想・評価

KIDS/キッズ(1995年製作の映画)
3.4
セックスに明け暮れ、麻薬にのめり込み、刹那的に若さを消費していく少年少女の生態観察。90年代NYにおける不良達の日常風景を切り取った疑似ドキュメンタリーめいた趣に溢れている。何気にガス・ヴァン・サントが製作に関わっててちょっと驚く。

冒頭から処女を奪うことを生きがいとする悪ガキ達の下品な掛け合いを延々と聞かされ(ナチュラルに窃盗と人種差別を披露してくれる)、その後も少年達と少女達がそれぞれ屯してセックスの話に明け暮れている様を見せつけられるので苦笑してしまう。恐らく皆10代、口を開けば下ネタで大盛り上がり。他にやることと言えばみんなでヤク吸ったり、喧嘩売られて暴力沙汰かましたり、夜のプールに忍び込んではしゃいだり……。「この子達の思考の9割はバカやることとセックスへの関心で出来てるんじゃあないか?」って思わされるくらいの勢いで心配になる。アジア人やゲイのカップルを小馬鹿にしたり、身体障害者とヤッた体験談が飛び出したりと、色々な意味でヤバい下りもちらほら出てくるので清々しい。

実際作中に出てくる少年少女らの行動原理は“刹那的な快楽”以外に皆無で、映画はそんな彼らの姿をただ淡々と追跡していく。不安定、無軌道、持て余した活力をちっぽけな日常の中で発散していく若者達。誰も彼もがキッズに過ぎないから後先を考えずに過ごしているし、それ故にいつ破綻へと転がり落ちてもおかしくない危うさを常に孕み続けている。当時流行していたエイズに感染し、その後も結局セックスへと走るジェニーの姿は半ば象徴的。破滅と隣合わせの退廃的な青春風景である。まあ最初から最後まで単調だし、正直あまりにもセックスの話ばかりで馬鹿馬鹿しくてゲンナリする部分も多かったけどね。
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