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昭和残侠伝 人斬り唐獅子のmhのレビュー・感想・評価

昭和残侠伝 人斬り唐獅子(1969年製作の映画)
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狂犬がふたり出てくる。
ひとりは実子。
「犬殺して、なんになるんだ」という健さん。
実子の目には涙がたまっている。「犬じゃねぇ、俺だ」
このシーン、めちゃくちゃかっこいい。
親分の息子は「実子」と呼ばれている。やくざ一家は全員が親分の子どもという位置づけ。だからこそ「実子」という呼称が成立する。やくざ社会独特のリアリティがそこにあって、それを連呼するような物語運びが素晴らしい。
もうひとりの狂犬は、あり得ないほど悪い敵方の親分。こっちは最後まで、なんらかの精神障害であろう極悪非道っぷりだった。
今回の健さんと良さんはかなり仲良し。会話のあと障子閉めたりしてちょっとゲイっぽい感じ。
お供しますのあと二時間経過しててもなんらおかしくないレベル。
ほか、女郎さんが牛乳飲んでるカットがあった。「侠骨一代」のなかで女郎役の藤純子が牛乳を飲みまくっていたのって、もしかするとキャラに個性を持たせようとしてのことじゃなくって、当時の花柳界にいる女性の中で流行っていたことなのかもしれない。気になってググっても、これについてはわからなかった。
片岡千恵蔵の貫禄がすごかった。顔も体も常人の2~3倍はあった。
任侠ものの正統派で、その良さを存分に引き出している。
傑作!
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