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スリ(掏摸)の&yのレビュー・感想・評価

スリ(掏摸)(1959年製作の映画)
4.0
【2013/12/24:オーディトリウム】財布や腕時計が次々手から手へ渡っていく、リズミカルな連携スリプレイはなんだかピタゴラスイッチのアレみたいで楽しくって目が離せない。
主人公の彼がスリをやるようになった決定的な理由や事情、またスリによって得た金品に歓喜する描写がない。スリルを楽しんでる風でもないし。恐らく、何の理由もないのだろう。
彼の目に留まるのはいつも、愛だの恋だの孕んだ有機的な「人間」ではない。たいした理由もなくスリのターゲットとなる高級な時計や現金といった、極めて無機的な「空虚」そのもの。そんな彼がラストに視線を交わすのは。あー。深い。深いよ。
あとから「罪と罰」をベースにしてると知って納得。ブレッソンは空虚を凝視し続ける人を描くのが好きなのかな。
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