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スリ(掏摸)の一人旅のレビュー・感想・評価

スリ(掏摸)(1959年製作の映画)
3.0
ロベール・ブレッソン監督作。

内気な青年ミシェル。彼は競馬場でのスリの成功を皮切りに、次々と犯行を繰り返していくが・・・。

他人の財布や高級腕時計を掏(ス)る時の動きが職人芸だ。
スリの師匠的存在兼相棒の男に教えられたスリのテクニック。机の脚に腕時計を巻き付け、ひたすらスリの練習を入念に繰り返す。手先のテクニックだけで腕時計を外していく。
相棒との連携プレーも華麗だ。
タクシーに乗り込む男に目を付け、乗車を手伝うフリをして、素早く財布を抜き取り仲間にこっそり手渡す。
他にも、出発前の列車内の狭い通路での犯行。人一人通るのがやっとの通路を利用して、ターゲットがすれ違う瞬間に胸ポケットから財布を抜きだす。すれ違う瞬間は二人(スリとターゲット)の体が否応なく接触してしまうことを利用した手口だ。

恥ずかしながら自分もスリの被害に2回ほど遭った。
1回目はまさに同じ列車内。FCバルセロナの試合を観終わった後の満員電車内。駅に着いたかと思うとアラブ系の集団(友人の証言)が無理矢理乗車してくる。『エクスキューズ・ミー!エクスキューズ・ミー!』と叫びながら自分たちを中へ中へ押し込んだ。アラブ系集団は押し込みながら、自分のポケットに手を突っ込み携帯電話を掏って去っていった。
2回目はインドのニューデリー。一人で歩いていると突然目の前に車が停車してきた。慌てて立ち止まると、後ろからインド人の集団が体当たり。急に自分が立ち止まったのが悪かったのかと思っていたら、バッグを無理矢理開けられ財布だけを抜き取られていた。

スリの手口はプロだ。巧妙な手法で掏っていく。まずは何かしらのアクションを起こし、ターゲットを動揺或いは一時的に思考停止させる。スリはその隙に掏っていくのだ。
でもはっきり言って、両方とも自分が注意していれば防げたはずだ。南京錠さえしていれば・・・。情けない。
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