スリ（掏摸）のywtのレビュー・感想・評価

虚無。役者にあえて素人を起用しているのもあり、お芝居に一切の熱量がなく、冷たい。とても冷たい。トラビスみを感じる、拗らせた持論と努力と集中力を持ち合わせる主人公。音楽や熱量が排除された分、切り取られたフレームの美しさが際立つ。けして肯定することはできない誤ち。しかし、誤ちがきっかけに生まれる希望もある。だから、全否定はできない。全否定をしてはいけない。救いのためにも。