完璧だ。
まるで自分がスリを働いているかのような気分にさせられる。凄まじいまでの緊張感。手の滑らかな動き、研ぎ澄まされた鋭い靴音、ショットの繋ぎ。何を取っても申し分ない。
中盤スリの決定的瞬間だけを…
このレビューはネタバレを含みます
『スリ』は「スリ」という犯罪行為が「手渡す」という社会的行為に華麗に変化するロマンチックな作品だ。
タクシーの乗客から盗むところはどういう流れなのかどういう配置なのか一見しただけではわからなかった、…
ブレッソン③
スリのシーンはめちゃくちゃスタイリッシュで映画映えするし、札入れが手から手へと渡っていく様は見ていて楽しい。
スリの動機といった「人間」にカメラを向けず、偏執的なまでに手、札入れを撮…
男はなぜ掏摸をするのだろう。
金持ちに対する嫉妬?
何かの復讐?
この映画ではそういった男の感情については描かれない。ただポケットに乱雑にしまい込まれた紙幣を見つめ、さっと盗むだけ…。
しかしその男…
ひたすらに手フェチ映画。好奇心からスリをやるようになった青年の噺だが、まあとにかく手、手、手。手による動きの美しさ、それに尽きます。
ブレッソン特有のモデル理論に基づく禁欲的な演出はやはりいつも通…