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マネーボールのYYamadaのレビュー・感想・評価

マネーボール(2011年製作の映画)
3.8
【実話に基づく傑作映画たち】
 ~事実は小説より奇なり

◆ベースとなった史実
〈統計学が貧乏球団を変える!〉
 ~セイバーメトリクス導入 / 2002年
・場所: アメリカ/オークランド
・人物: ビリー・ビーン (球団GM)

〈見処〉
①とにかく出塁せよ!
 統計学が野球を変える
・『マネーボール』(Moneyball)は、2011年のアメリカ合衆国の映画。
・本作の主人公は、プロでは大成せず、若くして弱小球団アスレチックスのゼネラルマネージャーに就任したビリー・ビーン(ブラッド・ピット)。
・貧乏球団にて、FA選手を引き留めれないアスレチックスであったが、2002年、名門イェール大卒で独自に選手のデータ分析を行っていた青年ピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)と出会ったビリーは彼をヘッドハンティング。データ重視による斬新な選手評価を基に、安い選手を買って勝てるチーム作りを進めるビリーに周囲は反発をするが、確固とした信念で戦略を貫き通すと、次第にチームは勝ち星を重ね、ある奇跡を呼び起こす…。
・「なぜ彼が好きかって?彼は塁に出るからさ」~統計学を根拠に、塁に出なくては点が取れない信念を貫き、四球を選ぶ選球眼を持って選手を採用、バントや盗塁は御法度とする「マネー・ボール」理論。
・本作はマイケル・ルイスによる『マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男』を原作とし、オークランド・アスレチックスGM、ビリー・ビーンがセイバーメトリクスにより、経営危機に瀕した球団を再建する姿を描いた快作である。

②主役だけがヒーローではない
・本作では安サラリーの選手やスタッフを集め、中心選手不在のまま、強豪チームにのしあがる様が非常に痛快な作品。
・いわばヒーローなき、ヒーロー映画であるが、アスレチックス監督役のフィリップ・シーモア・ホフマン(故人)を除くと、ジョナ・ヒル、クリス・プラットら、後にハリウッドの中心人物となる助演陣が、まるでセイバーメトリクスにて見出だされたように出演しているのが印象的である。

③結び…本作の見処は?
○: 「あなたのゴールは選手を買うことではない。勝利を買うことであるべきだ」~勝利によってスポーツを経営する観点で描かれ、ビジネス映画としても成立しそうな、興味深い逸話をベースとした佳作。
○: ブラピ演じるビリー・ビーンは、現在もワールドシリーズ制覇の大願成就には至っていない。華々しいハッピーエンドではない、少々ビターな「束の間の夢」を描いた脚本は極めて秀逸。『ソーシャル・ネットワーク』(2010)でアカデミー脚色賞に輝くアーロン・ソーキンの力量が冴える。
○: 凡人感溢れるフィリップ・シーモア・ホフマン、ジョナ・ヒル、クリス・プラットらの助演陣が作品質を高めている。
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