真っ黒こげ太郎

影なき淫獣の真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

影なき淫獣(1973年製作の映画)
4.0
美しい女性の柔肌を切り刻む悪魔のノコギリ!
(切り刻む場面が見られるとは言ってない。w)



イタリアのお洒落な学生街で起こった連続殺人事件。
女性をスカーフで絞殺し、遺体を切り刻む異常な犯行。

証拠品のスカーフから、女子学生のダニエルは殺人事件の犯人が自分をしつこく追いかけるストーカー男でないかと推測する。
挙句ダニエルの元に「スカーフの事は忘れろ!」と謎の脅迫電話が掛かってきて、更にストーカー男の執着も激しくなってゆく。

ダニエラはストーカー男からの避難と、精神的ダメージを癒やす為に、友人達と共に山の上の別荘へ。
別荘でようやく一息付くことができた一向だったが、殺人鬼は別荘にたどり着き密かに獲物を狙っていた…!




美少女を狙う謎の殺人鬼の恐怖を描いた、イタリア産のエログロ・ジャーロ映画。
70年代ジャーロ(ジャッロ)映画の有名作であり”若者が謎の殺人鬼に惨殺される”という「スラッシャー映画」の基礎や土台となった記念すべき作品。
監督は「食人伝説」のセルジオ・マルチーノさん。

ルチオ・フルチ監督の「ザ・リッパー」と共にHDマスター版がネットレンタルの商品欄に並んだので、レンタルして鑑賞。


スラッシャーの土台になった作品だけあってお話はシンプル。
女学生を狙う殺人事件が起き(邪魔になる男もついでにぶっ殺す)、最終的に主人公グループが襲われる、というベタ~なストーリーライン。
そしてその中で女性が脱ぎまくるエロや残酷に人々が殺されるグロが挿入されたりする見せ場が展開されていく。
(因みに全体的にはエロの比重が多いか。w)

70年代のお古な作品ではありますが、前半の犯人捜しサスペンスから、後半の羽目を外すエロエロな若者…からのクライマックスの殺人鬼との攻防と、内容はメリハリがあってテンポも悪くなく、純粋に楽しめる。

残酷シーンは直接移さないのでグロ度数は控え目だが、目玉潰しや遺体切り裂き等の見せ場はそれなりに見せていたし、遺体をバラバラにする場面も見せないながらおぞましく描いていて良かったですね。
(後、殺された人が若干動いちゃってるのはご愛敬。w)

後半の殺人鬼との攻防も緊張感があって良い。
主人公が足を負傷し、別荘は山の上で人の往来が少ない、窓は鉄格子付き、電話も通じない…とこれでもかと言わんばかりにクローズドサークルを成立させ生き残ったヒロインを追い込む徹底っぷり。

サスペンスに関しては、一番怪しかった男が犯人ではなかったというミスリード要素もあるが犯人の動機がやや弱かった気がする。
ただ、冒頭のエロシーンでしっかり伏線を張ってあるのは上手いと思った。

後、ラストの攻防で殺人鬼役の人が一箇所だけ「オッ!」となる蹴りをかましたり、それにドロップキックで対抗するシーンも見逃すな。w
(ラストバトルがややアッサリ終わるのはチョットイマイチだったが。)



若者達のエロエロ描写で若干間延びしてたり、前記した通り殺人鬼の動機付けが弱すぎるといった難点もあるが、スラッシャーの原型となった作品だけあって真っ当に楽しめましたね。
70年代の映画ではありますが、今見ても十分に楽しめると思います。