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スタッフのadeamのレビュー・感想・評価

スタッフ(1975年製作の映画)
3.0
テレビ用に制作されたキェシロフスキ初期の中編。
劇団の裏方として働き始めた青年が内部の対立に巻き込まれ幻滅する姿を描き、複数の映画祭で受賞を果たした作品です。
前半は衣装係の青年を中心とした裏方の人々の仕事ぶりや何気ないやり取りの描写で退屈ですが、中盤の、事件後は一気に話が展開しておもしろかったです。
社会の汚さ、大人の狡さに引き裂かれる終盤は胸が痛く、ドキュメンタリーからフィクションへの移行を試みていたキェシロフスキが、メッセージを物語に乗せる方法を身に付けたことが感じられました。
対等なはずの劇団内にある格差や管理者の振る舞いを社会主義国家の縮図として見ることはもちろんできますが、アートに魅了された純粋な青年に現実が突き付けられるほろ苦い青春映画としてうまくまとまっていたと思います。
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