繊細だが、さりげなく入るユーモアのセンスが良く楽しめた作品。
個人的にはもう2目盛ぐらいコメディに振ったほうが好みではあるが、女性監督らしい繊細な人間関係が見事に表現されていて、特に兄弟の関係は共感と共に感動できる。
ただ、きれいにまとめてはいるのだが、あらためて考えてみると、兄と結婚した女性アリスの尻軽な所が気にかかるし、兄の最期はひねくれた見方をすると、嫁をとられて恨みを抱いて・・・とも取れてしまう。
墓参りをするラストシーンが「臭い物に蓋」ととられても仕方ない終わり方。
でも、このどっちつかずのストーリー展開がロネ監督のカラーでもあるので、観た人が自分で補完してストーリーを楽しめばいいのだろう。
おませなメアリーちゃんが可愛かったが、「ウィルバーの昔の部屋」は無いだろ。これも深読みしてしまうとかなりきついので、サラッと流して観たほうがいいかも。
全て善意でとらえ素直に観ると心温まる物語。
余談。
メアリーちゃんが言った「ウィルバーの昔の部屋」。
この年齢の子でもませているメアリーちゃんなら、夫婦とはどういうものかとか、セックスについてとか、兄嫁に手を出している弟とかのことも全部承知のはず。
その上で、継父にたいして
「弟は自分の部屋で寝泊まりしていない」ということを伝えたって事は、暗に母親とできてしまったのと伝えたことになる。
それはどんな心理なのだろう。
数週間の寿命のあなたに、これからこの家で暮らすために必要な弟と母親の関係を壊されたくないと思ったのか、これからは弟が私たちを守ってくれるから心配しないで、と伝えたかったのか・・・・
などと考えると暗くなってしまうので、ギャグの一つとして流して観るのが正解だろう。笑