みおこし

ファニーのみおこしのレビュー・感想・評価

ファニー(1961年製作の映画)
3.7
好きな女優さんのレスリー・キャロン主演作。しかも共演はモーリス・シュヴァリエとシャルル・ボワイエという、往年のフランス出身俳優さんが揃い踏み。元々はミュージカルだったそうですが、歌やダンスなしの人情喜劇に仕上がっています。

フランスの港町マルセイユのとある酒場。店主のセザールや、金持ちのパニースたちはいつも店に入り浸っているが、セザールの息子マリウスだけは海への夢を捨てられない。彼の恋人のファニーはいつかマリウスと結ばれること、そして彼の夢を支えることの狭間で日々葛藤していたが...。

とにかくファニーが可愛い!当時30歳とは思えぬレスリー・キャロンの童顔も相まって、18歳の町娘にしか見えません。
ハッピーな場面のみならず、比較的シビアな展開にもつながっていくのですが、この辺りの人と人の感情のぶつかり合いも、とにかく巧い名優さん揃いなのでとにかく圧巻。頑固親父役のシャルル・ボワイエ(若い頃の紳士のイメージと180度違う!)も良いけれど、とにかくモーリス・シュヴァリエ扮するパニースの包容力。自分の立場やファニーの思いを理解して、それでもなお彼女のことをひたむきに想い続けるおじさまの姿にもう心打たれました...!ミュージカルスターだけれども今回は全てを封印して、演技力だけで勝負しているシュヴァリエの存在感。とにかく素晴らしかったです。
個人的には煮え切らないマリウスよりパニースの方が好きだったり...(笑)。

さまざまな人々の思惑がある中で、ファニーに人生最大の災難が降りかかります。そして全てのモヤモヤが解消される、奇跡のような大団円に思わず涙。当時としては画期的なオールロケ撮影も、マルセイユの美しい街並みを鮮やかに映し出していてまた感動的でした。

どこか昭和の邦画を感じさせる、郷愁漂う素敵なラブストーリーでした。おすすめ!
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