ちろる

グースのちろるのレビュー・感想・評価

グース(1996年製作の映画)
4.0
なんて澄みきっていてまっすぐなんだろう。
CGなしでこごでの美しい映像を作り出した製作陣が素晴らしい。

事故で母親を失った少女エイミーが離れて暮らしていた父親の住むカナダの農場に移り住むが、両親の離婚であまり一緒にいなかった父親とらうまくいかない。
ある時グースの卵を見つけ、孵化に立ち会ったことで「刷り込み」でエイミーがマザーグースとなってしまうことで始まるハートフルドラマ。
観る前は勝手にこじんまり、農場でグースを育てる長閑なお話なのかと思っていけど、蓋を開けてみたら良質なスペクタクルムービーだった。

エイミーを演じたのはデビュー作「ピアノ・レッスン」の圧巻の演技で助演女優賞アカデミー賞で獲得したアンナ・パキン。
アカデミー賞獲得の次の作品なので、意志の強いクレバーさがこのエイミー役にぴったりハマっている。
ピアノ・レッスンの時とそうだけど、子役時代の彼女はどこか大人びていて、大人ばかりの作品にいい感じでハマる。
ビジュアルは可愛らしいのに変に子供の無邪気さを売りにしないで、だから主役をグースたちと二分する適度な控えめさがこの作品を描く上でぴったりだった。

ヒッチコックの「鳥」を観たせいで子供の頃から鳥が怖いけど、よちよちエイミーの後ろを追いかけるベイビーグースたちの姿はめちゃくちゃ愛おしいし、カイトと共に飛ぶ姿はうっとりするほど美しい。
初めて地上から飛び立つところもそうだが、約束の地で夕暮れの空を背景に着水するシーンも額縁に入れたくなるほど輝いていた。

後半はほとんど自然を背景にしたカイトとグースの飛ぶシーンなのだけど、空から見下ろしたカメラワークはただただ圧巻。
ほんとうに純粋なものをみると美しくて涙が出てくるんだなと知りました。
お疲れの時の癒しムービーとしても、そして家族と観るファミリームービーとしてもこれはおすすめ。
カナダの広大な自然だからこそ叶えられた映像を楽しんでほしいです。
ちろる

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