遡ること7年
僕がまだ高校生だった時の物語
大人の世界なんてまるで知らないはずなのに、自分のことを大人だと思ってた青年時代の物語
高校生の僕は毎日のように恋人と「将来は結婚しよう」なんて、無責任に語り合っていた。
そんな恋人は映画が好きだった。中でもホラー映画が頗る好きだった。
僕は映画をそれほど見なかった。中でもホラー映画は大の苦手だった。
諸行無常の世の中、何事も変わりゆくもの。
ある時、僕らの関係も終わりを迎えた。
「結婚」なんて口約束をしていても、終わる時は一瞬だった。
「大人」になった気でいた高校生の僕は、「この人を超える人はいない」、「今後の人生は闇に包まれた」と毎日塞ぎ込んでいた。
まるで世界に異性がその人しかいなかったかのように。
なぜ離れることになったのかも、大人になるということも、何もかもが分からなかった。
闇堕ちしている自分に酔い始めた頃の青い僕はふと思い出した。
「ホラー鑑賞を何度も誘われたけど毎回断ってしまっていた」ことを。
もし断っていなければ未来は違かったのか。
今となっては知る由もない。
ただ、ホラー映画を見ることで答えが見える気がした。
二度と戻らないと分かっていても、光が見える気がした。
なぜだか、ホラー映画を見なければいけないと本能が脈動していた。
そこで僕は恐る恐る「REC」、「パラノーマルアクティビティ」、「ソウ」と有名どころを次々と鑑賞していった。
気がついたら映画の虜になっていた。
そこには僕が見えた気になっていた大人の世界はもちろん、色々な世界が広がっていた。
それ以来ホラー映画を見るたびに、そんな淡い初恋を思い出す。
人が殺されたり、悪魔に呪われたり、宗教で狂ったり、大量出血してるシーンを見ると淡い初恋を思い出す。
この映画は筆致し難いほどに低俗で、ストーリー性も無ければ、良いところが何もない。
世界観とかセットはかなり好きだけど、ありふれている。
かといって殺人描写や残虐描写に力を入れているわけではない。
でも、7年前の淡い初恋を思い出させてくれました。
ありがとう。評価は1です。