あなぐらむ

黒い賭博師 悪魔の左手のあなぐらむのレビュー・感想・評価

黒い賭博師 悪魔の左手(1966年製作の映画)
3.9
小林旭扮する賭博運を掴む悪魔の左手を持つとされる賭博師、氷室シリーズ最終作。

間に江崎実生監督作を挟んで再びの中平康演出は奇抜に富み、日活なりの007の解釈を更に拡げて、核軍拡に向かう世界を笑い飛ばす痛快なドタバタ劇に仕上げている。
中東の小国が企む賭博による外貨獲得を狙うというテーマを、大泉滉を国王にキャストする事で徹底的に戯画化、「政治こそ巨大なリスクを伴うギャンプルである」、というブラックな語り口は前作からの小川英。

ヒロインは美しい広瀬みさ、シリーズヒロインのおきゃんな横山道代が続投して楽しい。
この中東の国の名前は「パンドラ」といい、水爆を欲しがっているのだが、それを裏で操るプロフェッサーに二谷英明が扮し、珍しいコントのようなキャラを楽しげに演じている。
殺しの、ならぬ"賭博師番号"を持つギャンブラーに若き日のジュディ・オングが扮し、大変コケティッシュ。