みつん

メルシィ!人生のみつんのレビュー・感想・評価

メルシィ!人生(2000年製作の映画)
4.0
フランス本国では、ダニエル・オートゥイユ、
ジェラール・ドパルデューという
2大ビッグスターが出演している、ということで
大ヒットしたようだ。

原題の"Le Placard"というのは
クローゼット、という意味。

オートゥイユ演じる、気弱な中年男ピニョンは
コンドームの会社の経理をやっているが、
リストラの危機によって自殺まで考えている。

そんな彼に「自分はゲイだということにしたら
それを理由に会社側は首に出来ないから、
そうしてみれば?」
そんなアイディアを出すのが
隣に引っ越してきた、それこそ自身が
ゲイだという初老の男。

そもそも、ピニョンを退職させようとしている
会社のラグビー・チームに入っている
ゲイ嫌いのサンティニ(これがドパルデュー)。

ゲイだと噂になるピニョンを
バカにして、差別主義者として
リストラに合うのは自分かも、
とサンティニは表面的に心を入れ替え、
同性愛支持者としてピニョンに近づく。

映画のキモは、このあたり。
まったくゲイではないストレートたちが、
いかにゲイを許容して、受け入れていくか
それがこの映画のメッセージでもあり、
いちいち笑える。

特にクネクネしているワケではない
ピニョンに対して
「やっぱり。そうだと思っていた」とか
「あの歩き方は絶対そうだ」とか語る同僚たち。
勝手なストレートのゲイへの偏見や思い込みが
見え隠れし、当事者も含めて爆笑するはず。

これ、2001年公開、というので
ほぼ20年前の映画。
それを思うと、凄い。

ピニョンの離婚した妻とその息子との関係も、
登場し、彼がゲイであったら、という話から
その関係性が大きく変化するところなど
本当によく寝られている。

ちなみにこの映画の監督、
フランシス・ヴェベールは
なんとあの「Mr.レディ、Mr.マダム」や
ライアン・オニールがゲイの警察官に
扮する「パートナーズ」、
そして大ヒットし、舞台劇にもなった
「奇人たちの晩餐会」を作っている。

彼自身はゲイではなさそうだが、
どれも同様のテイストが盛り込まれていて、
なるほどなあ、と膝を打った。
みつん

みつん