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バージンブルースのtackyのレビュー・感想・評価

バージンブルース(1974年製作の映画)
2.4
藤田敏八の青春歌謡三部作のラストは、解散した、かぐや姫の代わりに、何と野坂昭如の「バージンブルース」。

「ジンジンジンジン、血がジンジン」と、最初聞いた時のインパクト半端無くて、その当時チンプンカンプンな歌詞だったのだが、いつの間にか心に残ったのは、さすが「黒の舟唄」を作った桜井潤である。
(この作品中に、野坂が「黒の舟唄」を唄う場面が出てくる。)

今回は、バージン?で控えめな性格の役の秋吉久美子よりも、「赤ちょうちん」のイヌガイが乗り移ったような、処女崇拝者の長門裕之が主役である。
脱サラして、ラーメン屋を始めるが、乳飲み子抱えた嫁に店を押しつけて、自分は店の売上をカードで引き出して、秋吉達と岡山まで逃避行するのである。まさに稀に見るクズ野郎である。

藤田敏八の演出は、ラストシーンの実は処女じゃ無かった秋吉久美子の代わりに、崖から落ちた長門裕之の顔面から流れる血を海で洗うと真っ赤になる、なんてまさに大袈裟な演出だらけで、もう一つだった。
内田栄一の脚本も、「妹」であり得ない現象を起こしすぎた反省からか、180度何も起こらず、淡々と二人の逃避行を描くだけで、今回ハマらなかったと思う。

今日的にも、このテーマはアホらしすぎるので、共感出来ないのだが、主役のダメ親父の生き様に、何か「負け組」の哀愁が感じられる作品にはなっていた。

しかし、同じ兄弟なのに、長門裕之はラブシーンが全然エロく無かった。やはり、津川雅彦のエロさと凄さを、再認識させてくれた。
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